『機械より人間らしくなれるか?』
チューリング・テストをご存知だろうか。チューリング・テストとは数学者アラン・チューリングが提案した「機械には思考が可能か」を問うテスト。審判はコンピュータ端末を使い、姿の見えない「二人」の相手とそれぞれ5分間ずつチャットする。二人とは、本物の人間(サクラ)とAI(人工知能)。チャットの後、審判はどちらが本物の人間か判断する。テスト中30%が、AI側が人間だと判断されれば「AIは人間と同様に思考し意識を持っていると考えていい」とするもの。
このテストを用い、最も人間らしいAIを競う大会で、著者はサクラの側にまわる。そこで人間らしいAIならぬ、最も人間らしい回答をした「人間らしい人間」になろうとする。そのために著者は「人間らしい」とは何かについて考えることになる。
著者が行った哲学的な思索については是非読んで頂くとして、これでもかと必死に考える姿は、人間らしくあるとはなんと大変なことなのであるか、と訴えているようでもある。
人間らしさについて、他の何かと比較して問う場合、その相手が動物や植物ではなく、自らが作り上げたAIを相手に問う現代社会。本書で語られ考えられる人間らしさは現代を映す鏡の1つなのかもしれない。
(リブロ池袋本店書籍館1F 幸 恵子)









